2015年9月4日金曜日

龍の道と古道(5)二つの竜頭山

今回は、「竜神ー竜王ー竜頭ー竜爪」ラインの竜頭について説明します。
http://otonano-kodaishi.blogspot.jp/2015/08/blog-post_31.html

愛知県と静岡県の二つの県にそれぞれ別の竜頭山があり、東西に並んでいます。西には愛知県新城市の竜頭山(りゅうずさん)。東には静岡県天竜市の竜頭山(りゅうとうさん)です。

左:竜頭山、右:竜のオブジェ(新城観光協会)

新城市の竜頭山には次の昔話があります。

「大昔、竜頭山に住んでいた竜は真冬でも岩の上にいました。ある男が寒中に山に登っていくと、竜は凍傷で腫れ皮膚も破けてぶるぶる震えていました。男が「やせ我慢はやめて南の暖かい国に行くのが利口だよ」と言いました。竜は「そうだな」とうなずいて雲に乗って南に飛んでいきました。」

ずいぶん人間的な竜のお話で興味深いですね。これは、大昔、戦に破れて身を隠していた人達の実話かもしれません。

一方、東の天竜市にある竜頭山とはどんな場所でしょうか。仏教が入ってくる前からある日本古来の土着信仰(自然崇拝)が続いた場所です。原始的な山岳信仰(精霊信仰)が根付いています。

安藤広重 本朝名所 遠州秋葉山
実は、この竜頭山のすぐ南には有名な秋葉山があります。秋葉山は古くから秋葉山信仰=「火の神(防災・防火)」として全国に知られてます。そして、古代、秋葉神社の神体山(奥の院)が竜頭山でした。つまり竜頭山こそが、秋葉山の古代信仰のご本山といえます。

大変興味深いことに、こんな山奥なのに、古代より人の往来がかなりあったようなのです。実際、江戸時代の頃でも北は奥州(東北)、南は薩摩(九州)から、全国から参拝者があったようです。

驚くことに人々は険しい山の峰の古道を往来したのです。多くの古道がこの辺りで今も確認できるようです。

「竜神ー竜王ー竜頭ー竜爪」ラインの意味が少しずつ見えてきました。人里から険しい山の峰に続く古代の道、古道が「竜の道」の謎を解くキーワードかもしれません。 続く。

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